滋賀県管内地理訳図

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解説 1904年の国定教科書制度がスタートする以前、教科書は、各府県で編集・発行・印刷されて、学校の授業に使われていました。これは、そうした郷土教科書のひとつです。
 滋賀県の教育史研究における第一人者である木全清博氏によれば「文部省は1879(明治12)年に『教育令』を制定して、地方ごとの実情をもとにした各府県教則を独自に制定することを勧めて、就学率をあげさせて小学校制度の普及を図ろうとした。子どもたちに地域社会にかかわる内容を盛りこんだ教科書を使わせないと、子どもたちが小学校に進学してこなかったからであった」(『滋賀の教育史』)。
 実際、本書には当時の滋賀県内の著名な山・川・地所が網羅され、子どもたちの現実の生活空間を意識しつつ、地理感覚の拡大を意図したつくりになっています。また、本書に記された編者の言葉には、この教科書で学ぶ子どもたちの年齢学力を鑑みれば、あまりに多くのことを一度に覚えさせようとしても子どもたちはかえって肝心なところがわからなくなってしまい、いわゆる虻蜂とらずになってしまうので、滋賀県内の地理の概略を理解してもらうことを意図した、といった意味のことが書かれています。
 編者である河野通宏(=道宏)は、もと愛媛県士族で、大津師範学校三等助教兼書記を1877年から3年間勤めた人物。『滋賀県管内 小学読本 巻1~4』の編集者としても知られています。
 前掲の『滋賀の教育史』によれば、その編集方針は「子どもたちの日常生活で身近に触れるものを素材として、それらを具体的に説明していくことで、合理的な生活感覚を身につけさせようとしたのではないかと考えられる」とされ、本書においても、そうした河野の考え方がよく反映されているように思われます。

(参考・引用文献)
『滋賀の教育史』 木全清博著 文理閣 2015年
資料種別 絵図
地域 滋賀県 > 滋賀県
タイトル 滋賀県管内地理訳図
シガケン カンナイ チリ ヤクズ
著者 河野通宏編輯
コウノ,ミチヒロ
出版年(西暦) 1878
出版年(年代) 明治11年(1878)
出版社 澤宗次郎
件名 地図
チズ 
ページ数 1枚 
大きさ 50×36cm 
コンテンツID 1001309 
IIIF マニフェスト https://da.shiga-pref-library.jp/1001309/manifest